Panasonic Let's Note CF-S10 に Debian をインストール

Last Updated at $Date: 2012-11-07 06:19:10 $.

注意事項
目次

作業日誌

9月6日

現用機は,(1)外部プロジェクタに安定表示できない,(2)バッテリ稼働時間が短かすぎる,という2つの問題があった. 発表などの利用に差し支えるので,乗り換え作業を開始.

9月22日

音が出なくて悩んでいたのだが,native な Windows を起動して,そこでミュートを解除してやると出るようになった.なんてこったい.

11月7日

かなりまとまった分量の文章を書かなければならない書類作成について,様式が電子化されておらず,印刷された紙だけが届いた. さて,どうしようか?

ちょっと調べてみると, 「書類などをTeXで頑張る方法」 というページが見つかった.しかし,ちょっと低レベルなマクロを直接触っているので,移植性が心配になった. そこで,もう少し調べてみると, wallpaper.sty を使う方法があるということが分かった.最終的に,今回実行した方法は以下の通り.

  1. 紙の書類をスキャナで取り込んで PDF にする.
  2. pdftk を使って,取り込んだ PDF をページ毎に分解する.以下のコマンドを実行すると, pg_0000.pdf, pg_0001.pdf,... というファイルができる.
    pdftk 取り込んだPDFファイル名 burst
    
  3. 以下のような LaTeX ファイルを用意し,適当に文書を記述する.
    \documentclass{jsarticle}
    \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
    \usepackage{mediabb}
    \usepackage{wallpaper}
    \begin{document}
    \pagestyle{empty}
    \ThisULCornerWallPaper{1}{pg_0000.pdf}
    1頁目の記述内容.
    
    \clearpage
    \ThisULCornerWallPaper{1}{pg_0001.pdf}
    2頁目の記述内容.
    \end{document}
    
    wallpaper.sty は,内部では \includegraphics を使って背景のファイルを取り込んでいるので, \includegraphics で取り込める種類の画像ファイルならば何でも背景として取り込むことができる. ただし,platex で処理する場合,PDF ファイルを \includegraphics で取り込もうとすると,以下のようなエラーが発生する.
    ! LaTeX Error: Cannot determine size of graphic in pg_0000.pdf (no BoundingBox).
    
    そのため,PDF ファイルから画像サイズを決定するための拡張 mediabb.sty を併用する必要がある.

なお,各ページの記述内容について,本格的な位置調整が必要な場合は,picture 環境を使う必要がある.


初期設定

インストール

(2012年9月6日)
  1. 取り扱い説明書の指示にしたがって,C: ドライブを縮小する.
  2. 再起動.
  3. 画面の指示通りに F2 キーを押し,BIOS 設定画面に入って,boot device の読み込み順序を変更し USB ハードディスクを優先するようにする.
  4. Debian-6.0.5 の netinst イメージを使ってインストール.なお,ehternet contoller が Intel 82579LM と新しいため,Debian-6.0.0 のインストーラでは e1000e ドライバが見つからずにインストール失敗した.新しいインストーラを使うこと.

メモリを大量に消費するアプリケーションを実行する機会が多いため,どうしても swap パーティションを確保せざるを得ない. SSD を少しでも延命するため,以下の設定を行った.

# vi /etc/sysctl.d/my-suppress-swap.conf
# cat /etc/sysctl.d/my-suppress-swap.conf
vm.swappiness = 0

SSD の劣化を防ぐためには Trim コマンドが重要だということが知られている. SSD の Trim コマンドを正しく使うためには,カーネルが linux-2.6.33 以後である必要がある. しかし,Debian-6.0.5 の標準カーネルは linux-2.6.32 で,ちょっとだけ古い. そのため,backports-master.debian.org から新しいカーネルをインストールしてやる.

  1. 以下を /etc/apt/sources.list に追加.
    deb http://backports.debian.org/debian-backports squeeze-backports main
    
  2. 以下のコマンドを実行して,linux-3.2 をインストール.
    apt-get -t squeeze-backports install linux-image-2.6-amd64 linux-headers-2.6-amd64
    
  3. wiki.debian.org の記述にしたがって,/etc/fstabを編集し discard,relatime,commit=600 オプションを指定.

電源管理

(2012年9月6日)

何もしなくても,Gnome からは Fn+F7 で suspend できた‥‥が,resume に失敗. 何種類かの対処方法があるようだが,私の場合は,何も考えずにカーネルを linux-3.2 に更新したら,resume も正常にできるようになった.

バッテリー動作時間を延ばすには, 負荷状態に応じて CPU のクロックを変更するように設定するのが有効. 以前は,手動で設定を工夫する必要があった. 現在は,cpufrequtils パッケージをインストールしておけば,必要な設定をやってくれるようだ.


X 環境の構築

(2012年9月6日)

Debian-6.0.5 の標準カーネルである linux-2.6.32 で起動していると,1024x768 しか使えなかった. カーネルを linux-3.2 に更新したら,1280x800 が使えるようになった.


無線 LAN の設定

(2012年9月6日)

wiki.debian.org の記述にしたがって,firmware-iwlwifi をインストールする. ただし,カーネルを linux-3.2 に更新しているので,squeeze-backports からインストールする.

apt-get -t squeeze-backports install firmware-iwlwifi

それ以外は,wiki.debian.org の記述の通り.


日本語入力の設定

(2012年9月6日)

通常の Gnome 環境は ibus-mozc を使っているので,以下のコマンドを実行して squeeze-backports から ibus-mozc をインストール.

apt-get -t squeeze-backports install ibus-mozc

Emacs だけは未だに Wnn7 に依存している. そのため,/usr/local/ia32/ というディレクトリ以下に 32bit の Debian-3.1 (sarge) 環境を作り,その中で Wnn7 を動かす. 今回,以前のマシンから /usr/local/ia32/ を持ってきて Wnn7 を起動しようとしたところ,以下エラーで起動できなかった.

[read_access_file] Cannot access ""

Wnn7 が参照している /usr/local/ia32/etc/hosts に自分自身のホスト名に対応するエントリがなかったことが原因だった.

127.0.0.1	localhost 新しいホスト名

というように書き換えてやる.


TeX 環境の構築

(2012年9月7日)

基本設定

とりあえず,必要なバイナリパッケージをまとめてインストールする.

# apt-get install texlive texlive-latex-extra texlive-math-extra ptex-bin jbibtex-bin mendexk xdvik-ja dvipsk-ja dvi2ps

それから,必要になりそうなクラスファイル,仮想フォントデータをインストールしておく.

# apt-get install okumura-clsfiles vfdata-morisawa5 dvi2ps-fontdata-ja dvi2ps-fontdata-n2a dvips-fontdata-n2bk

ptex-jisfonts パッケージの仮想フォントを使えるようにするための設定を行なう.

# jisftconfig add

ghostscript の設定

日本語を含む PostScript ファイルを表示可能にするために,必要なパッケージをインストール.

# apt-get install gs-cjk-resource cmap-adobe-japan1 cmap-adobe-japan2 cmap-adobe-korea1 cmap-adobe-gb1 cmap-adobe-cns1

dvipdfmx の設定

ghostscript で日本語を含む PostScript ファイルを表示可能にする設定をすると,必要な cmap ファイルがインストールされて,日本語フォントを埋め込まない PDF が作れるようになっているはず.

しかし,海外に論文を投稿する場合などは,逆に日本語フォントを埋め込まないといけない場合がある. そのような場合は,以下のように PS フォント名の代わりにフォントファイル名を指定した cid-x.map をカレントディレクトリに用意する.

rml  H sazanami-mincho.ttf
gbm  H sazanami-gothic.ttf
rmlv V sazanami-mincho.ttf
gbmv V sazanami-gothic.ttf

OpenType フォントは,カレントディレクトリか kpathsea ライブラリに見つかる場所に置く必要がある. kpathsea ライブラリが探す場所は,以下のコマンドで調べられる.

% kpsewhich -progname=dvipdfm -show-path="opentype fonts"

参照したいフォントが,このパスに含まれていなかった場合は,以下のように環境変数を設定すれば良い.

% export TTFONTS=.:/usr/share/fonts/opentype//:

この設定は,/usr/share/fonts/opentype 以下の全てのサブディレクトリを検索対象に加えることを意味する.

ヒラギノフォントを利用する場合は,以下のような指定になる.

rml  H HiraMinPro-W3.otf
gbm  H HiraKakuStd-W5.otf
rmlv V HiraMinPro-W3.otf
gbmv V HiraKakuStd-W5.otf

例えば,~/.fonts/ 以下にインストールしているファイルを利用したい場合は, 以下のように環境変数を設定すれば良い.

% export DVIPDFMINPUTS=.:${HOME}/.fonts:

日本語ファイル名に対応した UNZIP のインストール

(2012年9月6日)

Debian 標準の unzip は,locale を参照してくれないので,cp932 で encode されたファイル名を含む zip ファイルを回答すると文字化けが発生する. 必要なパッチを適用して unzip を再パッケージしても良いのだが,面倒くさくなったので,ここの手順と同様の手続きをして,Ubuntu の unzip を流用する.

  1. apt-get upgrade コマンドの実行時に,意図せずに Ubuntu のパッケージが混入しないように,/etc/apt/preferences.d/my-suppress-ubuntu を作る.
    Package: *
    Pin: release n=natty
    Pin-Priority: 70
    
  2. 以下のようにして Ubuntu のパッケージを取得できる設定を加える.
    sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/natty.list -O /etc/apt/sources.list.d/my-ubuntu-ja-natty.list
    
  3. 改竄チェック用の Ubuntu の GPG 鍵を import する.
    wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
    wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
    
  4. Ubuntu の unzip をインストールする.
    sudo apt-get update
    sudo apt-get -t natty install unzip
    

SD カードを使う

(2012年10月22日)

lspci を実行すると,以下のように SD カードコントローラが見つかるのだが,どうもデバイスドライバが入っていないらしく認識されない.

0d:00.1 SD Host controller: Realtek Semiconductor Co., Ltd. Device 5209 (rev 01)

Realtek のドライバダウンロードのページから RTS5209 用のドライバのソースコードをダウンロードし,以下の手順でインストールする.

sudo apt-get install linux-headers-2.6-amd64
tar xjf rts_pstor.tar.bz2
cd rts_pstor
make
sudo make install
sudo depmod -a

これで,無事に SD カードを使えるようになった.


リンク集


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